イギリスー美しい街並みの秘密ー
みなさんこんにちは!
今日はずっと記事にしたかったこと、「なぜイギリスの街並みは美しいのか」について書いてみたいと思います。
建築の話なので興味のない方はスルーして下さい、笑。
私は20代の後半でイギリスに大学院留学に来たのですが、よく色々な人に「どうしてイギリスだったの?」と聞かれます。
それは他でもなく「美しい街並みの謎を解きたかったから」なのです。
10代の頃初めてヨーロッパに来たのが、家族旅行で来たイタリア。
あの時飛行機の中から見たフィレンツェのオレンジの屋根は今でも目に焼き付いています。
なんて美しい街並みなんだろう。
そしてこれはその後に訪れるイギリスでも同じでした。
どうしてこんなにヨーロッパの街並みは美しいのだろう。
みなさんもこのように感じたことはありませんか?
私はどうしてもその理由を知りたかったのです。
そしてここに来てその答えは意外と簡単に見つかりました、笑。
それは他でもなく役所の建物のデザインのコントロールがハンパないからなのでした。
イギリスでは建物を建てる時、大きく2種類の異なる申請をカウンシル (役所) に行う必要があります。
ひとつは「Planning Approval」と、もうひとつは「Building Regulations Approval」です。
「Planning」の方は、建物の用途や外観の審査で、
「Building Regulations」の方は、建物の要素 (構造、設備、避難、バリアフリー、サスティナビリティ等) が法規基準を満たしているかどうかの審査となります。
私の理解からいうと「Planning」はデザイン、「Building Regulations」はヘルス&セーフティーを司っているというイメージでしょうか。
そして、建築計画の際、まずは「Planning (デザイン)」を申請しなければいけないのですが、この「Planning (デザイン)」の許可を取るのがとてつもなく大変なんです。
そのかわり「Planning (デザイン)」さえ取ってしまえばあとはどうにでもなります。
とっても簡単です。
ちなみに日本ではそれが全く逆でした。
つまり、デザインの審査は簡単だったけど、ヘルス&セーフティーの検査はとてつもなく厳しかった。
デザインの審査なんて、役所に正面の立面図一枚提出しに行ったことあったけど、ちらっと見て「はい、オッケーです」って即日でハンコ押してもらってた感じで、
赤と白のシマシマじゃない限りいいですよ、というレベルでしたね。
そのかわりヘルス&セーフティーの方は本当に厳しかったです。
私が働いていた頃は、ちょうど「姉◯事件 (一級建築士が構造計算を改ざんしたという事件)」というのが起きた頃で、とにかくミスは許されないし、審査基準もかなり上がっていたように思います。
つまり日本の建物は「安全第一」なんです。
でもイギリスは違います。「景観第一」です。
「Planning (デザイン)」の審査では、ストリートシーンにどんな影響を及ぼすかという観点から、建物のボリューム、屋根の形状、窓の大きさ、位置等、
また、どれだけ周りの建物と調和しているかという観点から、壁や屋根の色や素材、フェンスの形や素材等かなり厳しく審査が入ります。
時には実際に使う素材の提出等も求められます。
完全に真剣にですね。
でもこの違いは当たり前と言ったら当たり前なのかもしれません。
なんせ日本には地震がありますから、建物は「安全第一」であるべきという考えになるのは自然なことですよね。
イギリスは本当に自然災害の少ない国で、あってもたまに洪水くらいなので。
そうは言ってもこのふたつの国の建築に対するアプローチの違いに、私はとても衝撃を受けました。
だから結果は歴然です。
でも日本の制度にもいいところはあります。
デザインが規制されていない分、斬新な建物が建てやすいのです。
だから日本建築はモダン建築として世界で有名ですね。
イギリスには”モダン”建築を建てるチャンスはあまりないのです。
そしてイギリス人の中には「古い建物には価値がある」という考え方があります。
それはまたそのうち記事にしたいと思います。
今日はこんな感じでした。
読んでくれた方ありがとうございました。
それではまたね〜